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2008.03.23

住民の訴える権利認めず、門前払いの判決

Img_80322  3月19日、東京地裁の杉原則彦裁判長は、特殊車両認定処分取消し請求の「判決言い渡し」を強行しました。「本件を却下する。訴訟費用は原告の負担とする」――たった数秒。逃げるように退廷しました。 原告側が提出した大型車両の走行記録や、鎌倉街道を傍若無人に走るダンプのビデオ、被害を訴える住民の陳述書等の証拠調べを一切せず、「道路法は公益を守るためだけにあり、周辺住民の個別的権利を守るものでない」として「原告適格(訴えを起こす権利)がない」とする判断は、裁判の入口で「門前払い」にした極めて不当なものです。
 しかし、見方を変えれば、「工事車両の具体的な問題点に立ち入れば違法性は明らかであり、企業と行政を擁護する司法としては、この方法しかなかった」といえます。司法の側も、窮地に追い込まれているということです。
 平成17年12月7日、「小田急高架裁判」で最高裁大法廷は、周辺住民5万3千世帯、約20万人に原告適格を認めました。今回の判断は、大法廷判決の思想と論理からは到底導かれるものではありません。杉原裁判長のような逆流を許さない世論が、必ずや起こってくることでしょう。判決後の報告集会では、ここに確信を持って取り組んでいくことを確認しました。車両原告は全員直ちに控訴します(「三井グランドと森を守る会」ニュース No.127号)。

判決を受けて記者会見した「浜田山・三井グランド環境訴訟原告団」と「東京環境行政訴訟原告団協議会」は、次のようなステートメントを発表しました。

ステートメント

 道路特定財源の取扱いをめぐって、今、国会は揺れている。同財源による野放図な道路建設は、環境の21世紀にとって、もはや到底許されないことである。にもかかわらず、政・官・財の道路族は、これになお執着し、土建国家日本を死守しようとしており、その行方は予断を許さない。今こそ、国民が道路行政に直接異議を申し立てるべき時期であり、その大切な手段のひとつは行政訴訟である。
 直近の平成17年、改正行政事件訴訟法が施行され、小田急線連続立体交差都市計画事業認可取消請求事件について、最高裁大法廷は周辺住民5万3千世帯、約20万人の人々に原告適格を認めるに至った。連続立体交差とは、我が国の政治、経済、社会の根幹といってよい道路と鉄道を連続的に立体化し、都市を大々的に再開発する都市計画事業で、その事業規模は、小田急線世田谷部分(下北沢~成城学園前8.4km)だけで1兆円を超え、その主要な部分が道路特定財源である。
 したがって、このような巨大公共事業に対し、行政訴訟の途が初めて拓かれたことの意義は計り知れない。心ある多くの国民が喝采したのも当然である。これで土建国家日本に対し国民が異議を述べる回路ができたと考えられたからである。

 本日言い渡された三井グランドの道路法による特殊車両認定処分の取消請求事件は、ひとつのものとして進行していた三井グランド開発に対する各種行政処分の取消等を求めた行政訴訟の一環としてなされたものであるが、その契機は、まさに前記大法廷判決が道路の連続立体交差について、周辺住民の原告適格を認めたところにある。

 三井グランドは、昭和8年以来、周辺住民とともに形成されてきた、東京の緑地の枢要な部分を占めるものであり、このことは、これを取り潰してマンション開発を行おうとしている所有者三井不動産が最もよく知るところであった。
 大法廷判決の前であれば、格別のことがない限り、周辺住民はこの緑と文化を守るために訴訟を提起することはできなかった。三井グランド事件は、大法廷判決後初めての周辺住民による環境行政訴訟として、世論の支持と注目を集めていた。にもかかわらず、というよりも、それ故であろうし、道路特定財源が揺らぎ始めたからでもあろう、今回の判決は、道路法上の処分について、周辺住民の原告適格はないとして、門前払いにしたのである。
 道路と鉄道の連続立体交差は、道路から見れば道路法上の処分と規制が必要であることはいうまでもない。にもかかわらず、道路法上の工事車両認定処分は公益を守るためだけにあり、周辺住民の個別的権利はないとするような判断は、大法廷判決の思考と論理からは到底導かれるものではない。明らかにこれに背理する不条理なものである。大法廷判決から僅か2年しか経過していないにもかかわらず、同判決に上席調査官として関与した裁判長杉原則彦が構成する裁判所によって、かかる判決がなされたことは驚くべきことである。

 しかし、よく考えれば、見えてくるものがある。道路は都市計画事業で作られるだけではない。地方で作られる高速道路はその典型である。道路は土建国家の根幹であって、これをよしとする「裁判所」があるとすれば、かかる不条理が現れ得るし、現に本日現れたのである。道路特定財源が国会で審理されている最中になされたことは象徴的である。まさに、極度の「政治判決」というべきであろう。しかし、我々はもとよりであるが、心ある法律家や国民は、かかる「政治判決」を絶対に許すことはない。
                                   
以上

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判決要旨

判決要旨(PDF)は下記よりダウンロードしてご覧下さい。

「Hanketsu_Yoshi_80319.pdf」をダウンロード

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