今こそ本物の行政訴訟の門戸を開き、わがまちを守る
現在、私たちの住むまちは、すさまじい勢いで破壊されようとしています。貴重な木々は伐採され、大地にはコンクリートが流し込まれ、不必要な道路が街を貫き、空の見えない高層ビルの街、人々の貌が見えない街へと変えられようとしているのです。
地球温暖化の影響を受け、何十万ヘクタールもの野山、住宅を焼き尽くしたアメリカの森林火災の光景は、行政、ゼネコン、大手不動産業が一体となってまちを破壊している日本の現実に重なります。今までの良好な住環境を、緑地を、開発という名の炎にさらしていけば、行き着く先は、荒涼としたコンクリートの箱の群れでしかありません。
目に余るこのようなまち破壊、環境破壊は、本来なら住民の暮らしと生命を守る立場にある国、地方自治体が、全力を挙げて歯止めをかける責務があるはずです。しかし、開発業者の利益にのみくみし、時に誘導・率先、法を悪用してまでも、開発最優先の先頭に立つ土建国家、官権政治の体質は、一向に正される気配がありません。
平成17年12月7日、小田急事件の最高裁大法廷で「原告適格」を勝ち取り、公共事業や都市開発に対して周辺住民が訴える権利が認められるようになりました。そのことは、私たち住民に大きな力をもたらしました。都市計画法を環境法と位置づけ、生命・健康・生活環境等の面で被害を受けている者は、等しく訴える権利がある。遅すぎたとはいえ、当然の主張がやっと認められ、真の意味で三権分立、国民主権の民主制社会の入口に立ち、裁判を通じて行政の違法を是正しうる扉が開けられたように見えました。都市の環境のあり方を問う新しいタイプの環境訴訟が次々に提起されています。
しかし、残念ながら、この間の東京地方裁判所における環境行政訴訟の過程で、扉の中に入り、正しい法の裁きを受け、権利を獲得していくことは、そう簡単ではないことが、明らかになっています。
都内における樹林地や草地、農園の緑は減少し続け、東京の緑は、平成10年までの約25年間をとっても、山手線の内側を超える面積(約70平方キロ)が失われています。もはや、行政・司法の巨大な権力・闇の前で立ちすくんでいる時ではありません。そのためには、行政訴訟に不退転の決意で望むことが求められています。
最後の砦である貴重な緑・環境を守るため、市民・学者・法曹関係者が集い・力を一つにするべき日を11月29日に設けました。行政訴訟法、環境法研究の第一人者阿部泰隆中央大学教授、都市計画の福川裕一千葉大学教授、都市環境計画に数多くの鋭い提言をされている石川幹子東大大学院教授等も参加されます。共に考え、知恵と力を出し合い、なんとしても環境破壊を食い止める波を起こして、大きな一歩を踏み出す集いにしたいと考えています。ぜひとも、ご参集ください。