「三井グランドと森を守る会」は、3月9日夜、高井戸区民センターで杉並区の山田区長に「三井グランドの土地区画整理事業等認可取り消しを求める訴訟」に向けての住民集会を開催しました。同集会での原告団アピールを紹介します。
失われた大地は戻らない、私たちは裁判に訴えます
三井グランドの「土地区画整理事業」等認可取消し訴訟に向けて
この町の穏やかな暮らしの中心に、2万5000坪の大地がある
浜田山の町は、三井グランドの大地に守られ、育まれてきました。樹々越しに広がる大地を伝わってくる爽やかな風は、町全体を包み込み、多くの鳥たちが集い、緑地にはキンランやシロバナヒガンバナが咲き、希少種のキイトトンボが舞っています。神田川沿いの旧緑地地帯にあたる三井グランドは、杉並区南部の防災の拠点であるとともに、みどり豊かな低層住宅地に囲まれた、遺跡も眠る景観の地です。神田川と善福寺川に挟まれた「緑と水の拠点」として、またグリーンベルトの中心核としてグランドが果たしてきた役割は、計り知れないものがあります。
広域避難場所の三井グランドに、マンション建設は認めない
2004年9月、グランドの地権者三井不動産は、突然この地に650戸のマンションと50戸の戸建て住宅を建設する旨、発表しました。以来1年半にわたり私たちは、区議会や三井不動産に対して1万人を超えるグランド保全を願う署名、総計1万5000人余の地区計画案に対する反対意見書、住民提案の地区計画提出など、繰り返し繰り返し計画見直しを要望してきました。
しかし、行政は住民の切実な願いを一顧だにせず、本来は開発から町を守るためにある地区計画を悪用し、開発業者三井不動産の利益のために「一人地区計画」をかけてきました。用途地域を変更し、容積率、建ぺい率を緩和して、低層住宅地が広がる閑静な町の中央に、周辺の町並みにそぐわない「三井不動産のためだけの街」を作り出そうとしています。
グランドを南北に分けて二つの土地区画整理事業とし、地区計画というオブラートで包み込んだ都市計画決定により、広域避難場所の機能は失われ、4万人近くの住民は災害の危険にさらされます。静かな大地の薫りに満ち溢れた低層の町並みは、忽然と出現した「三井不動産の街」に飲み込まれようとしています。
裁判で問う三井不動産の「高井戸計画街づくり構想」と「私たちが創る町」
杉並区と三井不動産は「街づくり」と称し、大地にコンクリートを流し込み、オープンスペースをなくし、立ち並ぶマンション棟の間のわずかなスペースを避難場所と言い換える「街づくり」を目指しています。南北併せて9棟ものマンションが立ち並ぶ街は、私たちの安全を守る町ではありません。
グランド中央には16m道路(補助215号線)が暫定整備されます。いずれ敷地外の南北に道路は延び、街は分断されていきます。グランド内の区画整理事業が発端となり、幹線道路が貫き、緑濃い低層の町並みは、一企業にくみした行政の思惑の下で、どこにでもある中高層の街へと姿を変えていこうとしています。
都市計画法によると、都市計画の基本理念は「健康で文化的な都市生活を確保すべきこと」とあります。大地に守られてきた町、そこに暮らしてきた私たちが築いてきた町を、行政と企業の思惑だけで勝手に変えること、また、狭隘な道路に囲まれた地域に700戸の街をはめ込み、良好な市街地形成を図ると称する区画整理事業を施行することを、認めるわけにはいきません。 行政が市民の暮らしを、環境を、基本理念を守らないのなら、行政のひずみは、私たち住民自らが、司法の場でただしていかなければなりません。
このまちに暮らす私たちは、わが町を守り、創ります。
困難な道であっても、必ず道は開けると確信しています。
2006年3月9日 「三井グランド」行政訴訟原告団